忍者ブログ
***稀にR15、同性愛表現があったり? 自己責任でお願いします
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


honeysuckle 外野組。もしくはさよならダージリンのちょい後。
純南と瑞夏のお兄ちゃんの小話。



***


そろそろ


「そろそろ良いかなって思うんだよね」
「何がですか?」
 
大好きで大好きで大切な幼馴染は、私を置いて都会へと旅立ってしまった。
お土産?そんなのいらないわ。代わりにいつも使っている木綿のハンカチーフ、じゃなくて、香水を頂戴。
 
と言って奪った、桜とすみれの香りがするそれ。つけると彼女にぎゅってして貰っているみたいだ。
実際、ぎゅってして貰うことなんて滅多に無い。一応私も彼女も恋愛対象は異性である。
それでも、私は生涯彼女に執着し続けるのだと思う。それは、恋とか愛とか友情だとか、そういったものよりもっと欲望に近いものである自覚があった。
 
兎に角、私は彼女が大好きなのだ。
 
「それより純ちゃん、また瑞夏のこと考えてるでしょ?」
「え、なんでバレたんですか?」
「瑞夏のこと考えてる時の純ちゃんって、恋する乙女みたいだよね」
「私はいつも恋する乙女ですよー!」
 
彼女がいない今も、彼女の家に入り浸っている。
それは、彼女の面影を探しているというよりも、彼女のお兄様と一緒にいるのが当たり前のことだからだ。
仕事が忙しいようで平日は夜遅く帰ってくるけれど、休日はあまり外出していない。だから私は、ついつい入り浸り、お兄様に相手をして貰っていた。
 
「そういえば、まだ瑞夏が使ってた香水つけてるの?」
「もう無くなっちゃったんですよーショック。今は服とか部屋に香りが残ってるんですけど、消える前に買い直さなきゃなって思ってるんです」
「ふうん」
 
なら丁度良かった。そう言って、お兄様はごそごそと何かの包みを取り出す。それを差し出されて、条件反射で受け取った後、誰か誕生日だっけ、と首を傾げた。
 
「誰も誕生日じゃないよ」
「じゃあこれ、なんですか?」
「んー、なんでもない、僕から純ちゃんへのプレゼント?」
「なんでまた」
「良いから開けてみて」
 
さあさあとにこにこ顔ですすめられ、よく分からないまま包みを開ける。そうして登場したのは、小さな香水の瓶だ。
 
「グレープフルーツ?」
「うん。この前デパートに行った時に売っててね。思わず買っちゃったからあげる」
「はあ……ありがとうございます」
「好きな子から妹と同じ香りがするっていうのも落ち着かないしね」
「はあ……は?」
 
適当に相槌をうった後、手に持っていた香水を思わず落とした。ごとり。あ、不味いフローリングに傷がついたかな。妙に冷静に考えながらも、頬が赤く染まり始める。
 
「そろそろお互い、知らん振りはやめてみよっかと思って」
「し、ししし、知らん振りってナンノコトデスカ?!」
「んー?だって、偶の休日を大抵純ちゃんとのんびりする為に使ってる僕の気持ちなんて、薄々気付いてるでしょ?だから、そろそろ仕掛けてみようかと」
「だ、だだだだってお兄様えらく可愛い彼女とかいたじゃないですかっ」
「それはそれ、これはこれ。いわゆる大人の事情?」
 
確かに、気付いていた。妹の幼馴染ってだけでこんなに私を構ってくれる訳がない、とは思っていたけれど。
まさかこのタイミングで切り出されるとは思っていなかった。
 
もう少し、もう少し、曖昧なまま、ぬるま湯の中でまどろんでいたい。
そう甘えていた私に、お兄様は容赦なく言葉を放り投げてくる。
 
「純ちゃんの気持ちの準備ができるまで待ってたら、僕魔法使いになっちゃうしね」
「へ?お兄様魔法使えるんですか?」
「ううん、使えない。まあ兎に角、そんな訳だから」
 
そんな訳ってどんな訳だ。
つっこむ間も無く、お兄様の顔が目の前にやって来た。
 
「これから本気でオトしにかかるから、覚悟しといてね?」
 
にこりと微笑み、額へキス。
私はひいと叫んで、思わずその場から逃げ出した。
 


 
ねぇお兄様。今のでオチない女の子っているんですか。


PR
COMMENT
name
title
text
color   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
mail
URL
pass
secret
PREV ←  HOME  → NEXT
Copyright (C) 2026 リトルブルー All Rights Reserved.
Photo by 戦場に猫 Template Design by kaie
忍者ブログ [PR]