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***稀にR15、同性愛表現があったり? 自己責任でお願いします
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my little blue 海の底の後日談。




***


人魚の姉妹(次女と三女)


姿を認めるなり勢いよく抱きついてきた妹を、辛うじて受け止める。
もし押し負けていたら、珊瑚の茂みに倒されていた。妹達の姉をやるというのは、なかなかに命懸けである。
 
やれやれと思いつつ視線を下ろすと、胸の谷間にがっつり顔を突っ込んだ一つ下の妹が、小刻みに震えていた。
子を作る為の種を人間から貰う、という大任を果たし帰ってきたばかりである。辛いことや、悲しいことがあったのかもしれない。
そう思うと自然に目元は緩み、優しい笑みを浮かべていた。
 
「おかえり、えりさ」
 
反応は無い。普段であれば無視をするなと頭をはたくぐらいするが、今日はそっと指を伸ばし、背中に流れるまっすぐな黒髪を撫でてやった。
 
彼女のこの髪質は、母親譲りだ。一番上の姉と彼女、そして末の妹が持つこの感触を、なかなか気に入っている。
しかし、姉の髪を撫でる訳にもいかず、末の妹は不在。その結果、今胸の谷間にあるこの髪を撫でることが多くなるのは必然であった。
 
「いばら姉様……」
「なぁに?地上で何かあった?」
「あのね、」
 
ようやく顔がこちらに向けられる。
青い瞳の端は少し赤く染まっていた。泣いた後なのかもしれない。可愛い妹が地上で誰かに泣かされたというのなら、殴り込みにいく覚悟があった。
 
親指で目尻をそっとなぞってやる。彼女はくすぐったそうに笑い、それからもう一度強く抱きついてきた。
 
「あのね、」
「ええ」
「いばら姉様の谷間欠乏症で死ぬかと思ったよ!」
「…………は?」
「地上で見ず知らずの女の人に抱きつく訳にもいかないでしょ!私の面倒見てくれたのは男の子だったからまっ平らだし!むしろいばら姉様の谷間以外欲しくないっていうか!」
 
その勢いで、姉様の胸はなまこよりも弾力があってさわり心地が最高だのなんだのと力説する妹に、正直、頭を抱えたくなった。
こんな妹に誰がした。
 
「それでね、地上には温泉饅頭という美味しい食べ物があるんだけど、その形がころんとしててとっても綺麗なの!やっぱり胸は大きさじゃなくて形とさわり心地だとおも」
「ええい、あたしの胸は大きさも形も最高だっつの!とりあえず落ち着きなさい!」
 
今一度、妹の顔を自分の胸の谷間に沈めて深く息を吐く。
末の妹を産んですぐ、母は亡くなった。その後妹達を育てたのは、自分と姉だ。
だから、彼女がこうしてやけに騒ぐのがどんな時か、理解しているつもりである。
 
「お疲れさま、えりさ。頑張ったね」
 
背中を撫でながら、ゆっくりと伝えた。
すると彼女はただいまと、涙の滲む声で言ったのだ。
 
 
世話の焼ける妹にやれやれと思いつつ、密やかに決意を固める。
やはり、地上に殴り込みをする必要があるらしい。
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